鋳鉄製ブレーキシュー用の機械試験装置の選定は、規格ICS 45.060.20に準拠する必要があります。この規格では、機械的特性試験を以下の2つの部分に分けることが規定されています。
1.引張試験
ISO 6892-1:2019の規定に従って実施するものとする。引張試験片の寸法及び加工品質は、ISO 185:2005の要求事項を満たすものとする。
2.硬度試験方法
ISO 6506-1:2014に従って実施するものとする。硬さ試験片は、別途鋳造した試験片の下半分から切り出すものとする。試験片がない場合は、ブレーキシューを1つ採取し、その側面から6mm~10mmを削り取り、4点の試験点で硬さを測定し、その平均値を試験結果とする。
硬度試験方法の基礎
規格 ISO 6506-1:2014「金属材料 - ブリネル硬度試験 - パート 1: 試験方法」では、金属材料のブリネル硬度試験の原理、記号と説明、試験装置、試験片、試験手順、結果の不確実性、および試験レポートが規定されています。
2.1 試験装置の選択:ブリネル硬度計(最初に推奨)
利点: 圧痕面積が大きいため、鋳鉄材料の全体的な硬度を反映することができ (鋳鉄は構造が不均一な場合があります)、結果はより代表的になります。
中・低硬度鋳鉄(HB80~450)に適しており、鋳鉄ブレーキシューの硬度範囲を完全にカバーします。
操作は比較的簡単で、試験片の表面仕上げに対する要件も比較的低くなっています(通常はRa1.6~6.3μmで十分です)。
2.2 ブリネル硬さ試験の原理
原理は次のように要約できます。直径10mmの硬質合金球(または焼入れ鋼球)を、一定の試験力(例えば3000kgf)で試験片の表面に押し付けます。圧痕径を測定した後、硬度値(HBW)を計算し、材料の塑性変形に対する抵抗能力を評価します。その主な利点は、結果の代表性が高く、材料のマクロ的な硬度特性を反映できることです。これは、金属材料の性能試験において広く使用されている古典的な方法です。
2.3 ブリネル硬度の記号と説明
ブリネル硬さ値(HBW)の基本的な定義は、試験力(F)と圧痕面積(A)の比であり、単位はMPaです(ただし、通常は単位は明記されておらず、数値のみが用いられます)。計算式は以下のとおりです:HBW=πD(D−D2−d2)2×0.102×F
どこ:
Fは試験力(単位:N)です。
Dは圧子の直径(単位:mm)です。
dはくぼみの平均直径(単位:mm)である。
係数「0.102」は、試験力の単位をkgfからNに変換するために使用される変換係数です(Nで直接計算する場合は、式を簡略化できます)。
式から、同じ試験力と圧子の直径の場合、圧子の直径が小さいほど、材料の塑性変形に対する抵抗力が強くなり、ブリネル硬度の値が高くなり、逆に硬度の値が低くなることがわかります。
鋳鉄製ブレーキシュー(ねずみ鋳鉄)の材料特性に応じて、ブリネル硬度試験のパラメータは通常次のようになります。
試験力(F):一般的には3000kgf(29.42kN)が使用され、対応する硬度記号は「HBW 10/3000」です。
注: 試験片が薄い場合や材料が柔らかい場合は、ISO 6506-1:2014 に従って試験力を調整できます (1500kgf または 500kgf など)。ただし、これは試験報告書に記載する必要があります。

投稿日時: 2025年8月26日

